リズムゲームについて

8時頃にトイレで起きて、二度寝をしたら考えうる限り最悪な夢を見た。なんだか損をした気分になったのでもう一度寝たら楽しい夢を見ることができて、得した気分のまま12時頃に目が覚めた。マイナスがゼロに戻っただけで実はなにも得ていないどころか、夢それ自体はわたしになにも与えないしなにも奪わない。それなのに感情をこんなに揺らして、なんとまあ無駄なことだろうと思った。

わたしは無駄なものが大好きだから、「無駄である」は「美しい」よりもわたしにとって価値のあるものである。

 

目が覚めてからは用事のある時間までリズムゲームをやっていた。画面の上から音に合わせてボタンが降ってきて、ピッタリのタイミングに押すやつ。最近はデレステよりもプロセカの方をやることが多い。難易度が高いのでやっていてとても楽しい。

基本、リズムゲームに対人戦はないので、ひたすら自分との戦いになる。わたしは難易度の高い曲はできるようになるまでやればできるようになると思っているので(それはそうだ)、とにかくずっとやる。そのうちに目が慣れて指が慣れて気を付けるべきポイントに気を付けてさっきできなかったところができるようになる。冬は指が冷える。指が冷えると動きが鈍くなるので湯たんぽで温めながらプレイする。スマホの持ち方も重要だ。適切な持ち方でないと、親指の可動域が狭くなってしまうから。

数日音ゲーをサボっていたので、色々と忘れてしまっていた。5曲くらいプレイしたところで持ち方に気付き、もう5曲で視野の内特に注目すべき場所を思い出して、もう10曲で指が動き方を思い出す。

「そんなに速いの、覚えてるの?」と聞かれることがあるが、一曲あたり1000を超えることもあるリズムアイコンの位置なんて覚えているわけがない。見えているのかと聞かれるとこちらは微妙である。見えてはいるけど、たぶん脳みそで認識はしていない。プロセカのリズムアイコンが流れる速度は9.3に設定しているので比較的ゆっくり流れるとはいえ、アイコンが画面上に表示されてから押すべき位置に落ちてくるまでの時間はほんの一瞬だ。いちいち考えてから指を動かしていたら取り逃してしまう。わたしは「指が勝手に動いている」とよく言っている。実際そうなのだからそうとしか言えない。

 

リズムゲームでは目標達成として「Prefectを○万回出す」というのが設定されていることがある。あった。そうでなくとも右上にコンボ数(連続で正確にアイコンを押した回数)が表示されていて、少なくても500を越え、多ければ1000以上になる。時々、この数字を見ているうちに「こんなにスマホの画面を何度も押して、わたしは一体なにをしているのだろう」と虚無感が襲ってくる。

だけどまあゲームってだいたいがそうだ。スプラトゥーンでたくさん床を塗ったからといって自分の部屋が綺麗になるわけでもないし、桃太郎電鉄で勝っても口座の残高は増えない(むしろゲームを買うと減る)。だけど勝敗があるのは大きい。勝って嬉しい負けて悔しいは単純だけど強い感情だ。音ゲーにはそれがなかった、スマホで遊べる音ゲーは特に。ガチャで出るキャラクターの性能にスコアが左右されるからだ。当然いいカードを持っていればいいスコアが出るけど、プレイの上手下手は少し価値が下がる。オールパーフェクトを出しても、ライフの回復に特化したカードしか持っていなければ数回ミスしたプレイよりもスコアが低くなったりする。

カードの性能が関係ないようなリズムゲーム(ゲームセンターでプレイできるものや、キャラクターではなく楽曲にお金を払うタイプのもの)でも、ランキングのシステムがあるとはいえ1位を目指そうとすれば当然「そのゲームが一番うまい人」と戦うことになる。赤ちゃんが大人と殴り合いをして勝てるわけがない。

 

だからプロセカのランクマッチはわたしにとって衝撃だった。

・リアルタイムで

・たった一人の相手と

・カードやキャラの性能関係なく、ただ「リズムアイコンを正確に押せたかどうか」で

勝敗が決まるリズムゲーム。今まで勝ち負けがなく、プラスな感情はせいぜい達成感くらいだった世界に突然嬉しい悔しいの感情が出現したのである。自分がミスをすると、ポイントが減って「-1」と表示される。逆は「+1」。アイコンを見なくちゃいけないのに、自分がどの程度相手に負けているか/勝っているかが気になる。そして集中が途切れると当然ミスをして負ける。負けると悔しい。僅差で負ければもっと悔しい。そして、勝つと嬉しい。

 

まさか音ゲーでこんな感情を味わうことができるとは思っていなかった。ありがとう音ゲー、またね音ゲー

 

じゃ!